結婚2
2025年2月に再婚しました。結婚2です。
2021年11月に前の妻と離婚しています。その後、この発狂都市東京で女性と出会って結婚生活を送るのは、ぼくには無理かなと思い……。出身地の大阪へ帰りました。
その後、大学時代のサークルの後輩だった女性と美術館へ誘われたり、ご飯を食べたりして過ごして、再度結婚を考えるようになりました。妻2は精神が安定していて、ぼくの率直な物言いにも動じません。また親御さんが自営業をされているので、ぼくのように自分で会社をやっている人間の生活の不規則さや、仕事の優先度が突然変わることを理解してくれている。そうして結婚2(だれも試し行動や号泣せず、毎日2人で映画を観たり本を読んだりして1日がおわるマジで楽しい結婚生活)に到達したのでした。
独身期間中に支えてくれた友人たちには、本当に感謝しています。ありがとう。
新婚旅行の行き先を決める
2025年6月末、新婚旅行へ行くことになりました。
ぼくは中国へ行きたかった。大阪人として言わせてもらうと、中国の人たちと大阪人は雰囲気がよく似ています。街の活気は日本より圧倒的にあるし、あのカオスな空気感がたまらなく好きです。
大学時代は10回以上中国へ旅行しました。西安外国語大学へ留学して中国語の勉強もしています。
大学時代、大阪から上海まで「鑑真号」というフェリーで48時間かけて渡ったことがあります。あれは本当に苦しかった。暇すぎるのに船酔いするし、時間の流れも視界も歪む。でも、だからこそ一生忘れられない思い出になっている。絶対に記憶に残るから新婚旅行にええんちゃう? と妻に提案したら、
「絶対イヤ」
と即座に却下されました。まあそうか。
妻は最初は「ドイツのレーパーバーンへ行きたい」とか言ってたんですけど、今はそんな金も時間もないんですよね。
結局、妻の提案でタイへ行くことになりました。しかも普通の観光地じゃなくて、タイの田舎にある「地獄寺」をめぐる旅です。仏教の地獄絵図を立体で再現した寺院群です。なんだか面白そうで気になるんだとか。
OK。東南アジアの旅行ならおちゃのこサイサイです。
中国南方航空が安い
タイへは中国南方航空で行くことにしました。なんと、タイまで往復3.2万円です。
新幹線で大阪〜東京を往復するより安い。狂ってる。しかもLCC(格安航空会社)じゃなくてFSC(フルサービスキャリア)です。機内食がちゃんと出てくるし、デザートにはハーゲンダッツまでついてくる。
中国系航空会社は日本人にあまり馴染みがないかもしれませんが、サービスの質は悪くありません。むしろこの価格帯でこの内容は、コストパフォーマンスとして異常なレベルです。中国の航空産業への国家的投資と、エアアジアやピーチやスクートなどのLCC東南アジア路線の競争激化が生んだ価格破壊です。
事前準備
新婚旅行のしおりを作りました。
「浮かれてるやん」と思われるかもしれませんが、違います。飛行機の予定はズラせないし、ホテルも押さえてあります。田舎の地獄寺をめぐるとなると、ある程度の旅程管理がないと無茶苦茶になるからです。
また、田舎の地獄寺は公共交通機関では行けない場所にあるので、事前にドライバー付きの車をチャーターしました。現地についてからタクシーの運転手と交渉してチャーターする手もあるんですが、探すのが面倒だし、疲れているときにそういう交渉をするとボラれやすい。ちょっと高くつくかもしれないですがいいでしょう。
チャーター会社とはメールでやり取りしましたが、英語がちゃんと通じる。これは本当に助かりました。タイの観光インフラは、こういうところがしっかりしています。
タイ語のチートシートも作りました。220語ぐらいの頻出語句をまとめた単語・会話表です。A4の紙に両面で印刷しました。

6月27日(金)——まずは中国・広州への寄り道
関西空港から広州へ

朝7時、関西空港に到着。
8時40分発の中国南方航空CZ394便で、まずは中国・広州へ向かいます。機内食を楽しみ、デザートのハーゲンダッツに妻と二人でテンションが上がる。ほらな、これがフルサービスキャリアやねんとぼくも鼻が高いです。

11時55分、广州白云国际机场に到着しました。
広州白雲国際空港(广州白云国际机场)
广州白云国际机场は、華南地域最大のハブ空港です。広州市北部に位置します。中国国内では「華南の玄関口」として、出稼ぎ労働者の帰省、商用出張、国際線の乗り継ぎが交差する実務的な空港として知られています。
次のバンコク行きの便まで5時間半ありました。これだけ時間があれば、中国に一時入国できます。
妻も
「目的地が中国なんは嫌やけど、ちょっと入国するぐらいやったらええよ」
とのことでした。よし、入国しましょう。
花東市場へ向かう(广州市花都区花东镇花东市场)
空港近くの农贸市场(農産物市場)、花东市场へ向かうことにしました。
广州白云国际机场には近距離タクシー専用の乗り場ができたというニュースを、事前に中国のニュースサイトで見ていました。長距離客を狙うタクシーばかりの空港で、近場に行きたい客は困ることが多い。その対策として設けられた乗り場です。
ただ、ニュースで見たような「近距離タクシーがずらりと並んでいる」光景はなくて、実際には一台だけポツンといました。近距離タクシーの運転手と長距離タクシーの運転手が、自分の車に腰掛けながら雑談しています。おおらかな光景です。
「花东市场へ行きたいんですけど」と言ったら、
「そんなとこ行って何すんの?」
「ご飯食べる」
「美味しくないよ、あそこ」
めっちゃ拒否される。それでもなんとか車を出してもらいました。運転手は「こちらの中国語力が低いから花东市场へ行っても仕方がないということが伝わっていないのでは」と疑っているらしく、自分のスマホで翻訳した画面を、前の席からのけぞって見せてきます。運転しながらでホンマに危ない。
到着したら、近距離なのに200元を請求されました。高すぎないか? 交渉して100元になりました。
相場だと50元ぐらいだと思うんだけどなー。まあ、空港発だし、観光客価格だし、仕方ないかな。
花東市場(花东市场)を歩く
花东市场は面白かったです。

この市場は広州市花都区花東鎮にある生活密着型の农贸市场で、約1.2万平方メートルの規模があります。いわゆる「菜市场」の系譜を継ぐ市場で、生鮮食品から日用品まで揃う地元民の台所。近年は衛生面や動線の改善が進み、「市場+スーパー」のような再整備が中国各地で行われていますが、ここもその流れにあるようです。
日本と中国だと、それぞれの田舎を比較したときに日本の方がキレイっていうのは本当だと思います。
— ひでシス (@hidesys) 2025年11月8日
日本の田舎でこんなんになってるとこなくないですか? pic.twitter.com/wBVQ6r6HQL
写真を見返すと、まあ汚い。生活者の熱量がそのまま溢れてます。

ちょうど市场の上階にスーパーマーケットが開店した翌日だったらしく、めちゃくちゃ華々しく開店セールをやっていました。風船とか垂れ幕とか、金色のピラピラが床に散らばっていたり、中国らしい派手さです。
農家木桶飯——そして運転手の正しさを知る
昼食は近くの食堂で「农家木桶饭」を食べました。

木の桶で蒸したご飯におかずを乗せる、広東省でよく見るスタイルの定食です。
……タクシーの運ちゃんが言ったとおり、確かにマズい。
中華料理ってこんなにマズかったっけ? 日本のガチ中華もいろいろ食べてきたんですが、これは厳しい。タクシーの運転手が「美味しくないよ」と言っていたのは、本当でした。外れの多いエリアだったのかもしれません。まーしゃあない。
ただその後市場でかった生ライチはめちゃ美味でした。日本で食べる冷凍ライチとは完全に別物です。果汁が弾けて、甘さと酸味のバランスが完璧。これだけで来た価値がありました
DiDiで空港へ
帰りはDiDi(中国版Uber)を使いました。
料金は50元。
ほらー。やっぱり行きはボラれてでしょ。15時40分、广州白云国际机场に戻りました。
雷雨による遅延
17時20分発のCZ8019便でバンコクへ向かう予定でしたが、雷雨で1時間ほど遅延しました。
まあ、南のほうだし、雨季だし、天気が不安定なのは仕方ないのかも。広州は亜熱帯モンスーン気候で、6月は降水量がピークになる時期です。この雨が華南の稲作を支えているわけです。
バンコク到着——ニューハーフショーの夜
スワンナプーム国際空港(ท่าอากาศยานสุวรรณภูมิ)
スケジュール上では到着は19時20分だったんですが、1時間半ほど遅れてスワンナプーム国際空港に到着しました。

バンコク東部、サムットプラーカーン県に位置するこの空港は、敷地面積約32.4平方キロメートル。空港というより小さな都市です。2000年代に開港して以来、タイの国際線ハブとして拡張を続けてきました。
Grabを呼んだんですが、駐車場のわかりにくいところにやってきました。呼ばれたGrabが集まるスタンドです。急いでカリプソ・キャバレーへ向かいます。
カリプソ・キャバレー(Calypso Cabaret)

21時45分から30分ほど遅刻してカリプソ・キャバレーへ付きました。
タイといえばニューハーフ。そのニューハーフによるショーを観に行きました。1988年創業の老舗で、バンコクの旅行者向け定番エンタメとして知られています。
飛行機の遅延で遅刻して到着したんですが、スタッフがめちゃくちゃ優しく迎え入れてくれました。ありがとうございます。しょっぱなからタイのホスピタリティを感じます。
客層は日本人が6割、マレーシアなど東南アジア諸国の人が2割、残りが欧米系という感じでした。
日本人、多すぎです。
アジアティーク(เอเชียทีค เดอะ ริเวอร์ฟรอนท์)で夕食
ショーの後、アジアティークで夕飯を食べました。

アジアティークは、チャオプラヤー川沿いにある大型商業施設です。ラーマ5世時代に対ヨーロッパ貿易で栄えたイースト・アジアティック社の波止場・倉庫跡を再開発し、2012年にオープンしました。港湾と国際貿易の歴史を、観光用に作り替えた場所です。
ここで食べたタイ料理が、めちゃくちゃ美味しかったです。
広州で食べた昼食の3倍から5倍は美味い。食在广州とちゃうんかい。いや、木桶飯がハズレだっただけかも……。うーん。
アジアティークは地元の人にとっても「夜に行く定番の川沿いスポット」として親しまれているようで、観光客だけでなくタイ人の姿も多かったです。
6月28日(土)——地獄寺へ高速で4時間
コラートへ向かう
朝7時10分、バンコクのザ・サンレノ・ホテルにてピックアップ。 これから2日間お世話になるドライバーの方が来ました。
……あれ? 英語、話せへんやん。
事前のメールでは英語でやり取りしていたので、てっきりドライバーも英語ができるものだと思っていました。オイオイ、どうすんねんこれ。
まあ、なんとかなるか。ぼくはタイ語ができないけど、Google翻訳とジェスチャーでコミュニケーションを取ります。
目指すはナコーンラーチャシーマー、通称「コラート」。バンコクから北東へ約4時間の道のりです。
そういえばタイってトイレに紙がないんですよね。ホースでお尻に水をかけて手でこすって洗うの。ホテルはともかくとして、高速道路のサービスエリアや地獄寺のトイレはそうなってます。

この話も事前に妻へ伝えてはいました。普通の女性だと嫌がるでしょう。それも含めて「新婚旅行でタイの田舎へ」をOKしてくれた妻に感謝です。
ナコーンラーチャシーマー(โคราช)
ナコーンラーチャシーマー県は、タイ東北部イサーン地方の入口にあたる要所です。県の面積は約2万平方キロメートルで、タイ国内最大級。古くから交通・軍事・交易の結節点として機能してきました。タイの「生活圏」へ突入です。

タイの高速道路を走っていて驚いたのは、道がめちゃくちゃ綺麗なこと。路面が整備されていて走りやすいし、周りのドライバーも運転が丁寧です。あとガソリンスタンドがサービスエリアの代わりになってるんですね。なんだかアメリカっぽいです。
道端の屋台で昼食

お昼ご飯は、ワット・パー・ラックローイの近くにある道端の屋台で食べました。
澄んだスープに牛肉が入ったもの(ガオラオ เกาเหลา)。ご飯。シンプルだけど、滋味深いです。
イサーン地方では、ベトナムと同じように、そこらへんで摘んだ薬草をテーブルの上にドサッと出してくれて食べ放題でした。レモングラスとか、名前のわからない葉っぱとか。これを好きなだけ食べてOKです。
あと、豚の皮のチップスも食べました。カリカリで香ばしくて、脂っぽくもなく香ばしい。 タイ、すべてのご飯が美味しいです。
また屋台で使われているプラスチックのコップも可愛かったです。日本だとこういうのは中国からの輸入品でしょうけど、これはタイで作っているのかな。
ワット・パー・ラックローイ(วัดป่าหลักร้อย)——タイ最大の地獄寺
いよいよ今回の旅のメイン、地獄寺に到着しました。

ワット・パー・ラックローイは、ナコーンラーチャシーマー県にある寺院で、タイで最大級の「地獄寺」として知られています。
「地獄寺」とは何か。
タイの仏教寺院の中には、地獄の様子を立体的な像で再現し、参拝者に因果応報の教えを視覚的に伝える場所があります。子供や若者に説教をしても伝わりづらいので、視覚で脳に焼き付ける。そういう発想で作られた教育施設です。なので子供も遊びに来ていました。
境内には、罪人が責め苦を受ける様子を描いた像が並んでいます。鬼に舌を抜かれる者、釜で煮られる者、串刺しにされる者。グロテスクでわかりやすく説教的。タイ人の死生観と、仏教の教えが混ざり合った独特の空間です。
タイの地獄寺(ワットパーラックローイ)にTung Tung Tung Sahurがいました。
— ひでシス (@hidesys) 2025年7月1日
森林破壊をした人が因果応報の法則により自分が斧で切られてる像です pic.twitter.com/2UHgixZK6I

地獄こわすぎる pic.twitter.com/IXPuEp2Kdk
— ひでシス (@hidesys) 2025年7月1日
ドライバーの方は観光はせずに、僧侶と雑談していました。
トゲトゲの木

特に印象に残ったのが、「トゲトゲの木」の話です。
夫が不倫をすると、死後、地獄に落ちてこの木に行かなければならない。
木には赤熱した棘がびっしりと生えています。夫は木の根元にいて、不倫相手の女性は木の頂上にいる。夫は鬼に足を突かれながら、傷だらけになって木を登っていく。
ようやく頂上に辿り着くと、フッと女性は消えて、今度は根元に現れる。
そして女性が、同じように傷だらけになりながら木を登る。頂上に着くと、また入れ替わる。
これが永遠に繰り返される。
この罰は「โลหสิมพลีนรก(ローハシムパリー地獄)」と呼ばれ、不貞——不倫や姦通、性の戒め違反——の業で落ちるとされています。タイでは「ปีนต้นงิ้ว(トゲ木を登る)=不倫者の末路」という慣用句があるほど、この話は広く知られているそうです。
「不倫したらこうなるぞ」
と、妻から言われました。
興味深いのは、タイでは結婚後の初夜に、町の偉いお坊さんが新郎新婦にいくつか説法をする習慣があるそうです。この「トゲトゲの木」の話も、その説法の中に含まれているのだとか。
ワット・バーンライ(วัดบ้านไร่)——象の寺

当初の予定ではピマーイ歴史公園に行くつもりでしたが、スキップして代わりにワット・バーンライへ向かいました。
ワット・バーンライは、ナコーンラーチャシーマー県ダーン・クン・トート郡にある寺院です。高僧ルアンポー・クーン(หลวงพ่อคูณ)ゆかりの寺として知られ、参拝と寄進の文化が根付いています。
本堂が巨大な象の形をしているインスタ映えのスポットです。
「かっこいい寺を作ろう!」と発起したお坊さんがいて、本当に作った。寺建築の派手さは、信仰と寄進の集積として理解されるそうです。地方の本気を見せつけられました。
ご飯は近く屋台ご飯です。ぼくがクイッティアオ・ルア(豚の血のスープ)、妻がガパオライスです。

ホテルと新婚旅行の値段
夕方、いったんコラート近くのホテルに帰りました。ドライバーの方とはここでお別れ。
さて、コラートのホテルは、最初は一泊・2人で2,000円台のところを予約していたんです。
旅行前にそれを妻に伝えたら、
「新婚旅行なのになんで2,000円台なん!?」
と怒られました。
8,000円台のホテルに変更しました。キレイで滞在しやすかったです。新婚旅行にケチったらダメです。
セーブワン・ナイトマーケット(ตลาดเซฟวัน)へ向かう
ホテルからトゥクトゥクで、セーブワン・ナイトマーケットへ移動しました。
セーブワン・ナイトマーケットは、コラートにある大型ナイトマーケットです。敷地面積は約20万平方メートルとも言われ、タイ最大級の規模を誇ります。
飯、服、雑貨、ステージ、屋台。全部あります。
地元客にとっては「夜のレジャー兼メシ処」であり、観光客向けというより生活圏の巨大娯楽施設という位置づけです。バンコクのナイトマーケットと違い、お客さんもタイ人ばっかりです。
服をいくつか見て妻に似合ったものを買いました。洋服タグの付いていないタイ製の服です。

魚の焼いたのを買って食べました。香ばしくて甘辛くて美味い。川魚にありがちな生臭さはありません。
妻にタイマッサージを受けさせたんですが、マッサージを受けている間に、ご飯を食べるところが閉まってしまいました。
ドリアンとジャックフルーツも食べました。ドリアンは「果物の王様」と呼ばれるだけあって、濃厚でクリーミー。匂いはアレですが、味は確かに美味い。ジャックフルーツは柿のようなメロンのような素朴な味と甘さで、こんな味なのか―ってなりました。

セーブワン。ナイトマーケットの中には雑貨屋も入っています。中で売られていたのはタイ製の洗濯バサミや、鉛筆削りなど。ちゃんとタイで生産しているんですね。生産力があります。
6月29日(日)——バンコクを観光
コラートからバンコクへ
朝、コラートのホテルにてピックアップ。
もちろん昨日と同じドライバーさんです。バンコクからコラートまで連れ回してすいません。今日はバンコク方面へ戻りながら、いくつかのスポットを回ります。
バンコクへ高速道路で帰る途中、道の両側にめちゃくちゃたくさん「建設機械のレンタル屋」を見ました。意外かもしれないですけど、実はショベルカーなんかは日本とインドネシアで1日レンタルするのだと、インドネシアでレンタルするほうが高いんです。建設需要に対して建設機械の供給が足りていないのと、熟練工やメンテナンス技術者の不足が主な理由です。タイはちゃんと足りてそうです。布などの軽工業からプラスチック産業、そして建設もカバーできているタイの工業力を感じます。
ワット・パーヤップ(วัดพายัพ)——鍾乳洞の欠片を壁に貼りまくったお寺

バンコクへ向かう途中、予定になかったワット・パーヤップ寺院に寄ることになりました。
この寺院は、鍾乳洞由来の石——หินงอกหินย้อย(鍾乳石と石筍)——を集めて、境内の建物や装飾に貼り付けまくった場所です。
入ってみて驚きました。思ったより雰囲気がある。暗くて、ひんやりしていて、かっこいい。
派手な観光寺というわけではなく、地元の人が普通に参拝する場所に「謎の造形」が混ざっている系でした。
MOCA バンコク現代美術館(พิพิธภัณฑ์ศิลปะไทยร่วมสมัย)
バンコクに戻り、MOCA(Museum of Contemporary Art)へ。
この美術館は、通信会社の創業者ブーンチャイ・ベンジャロンกุล(บุญชัย เบญจรงคกุล)氏が2012年に開館した私設美術館です。敷地面積は約2万平方メートル。国立ではなく、金持ちが趣味で作った箱ですね。好きな作家にいろいろ描かせたり作らせたりしたものを展示しています。

日本だと「絵を描く人」と「立体物を作る人」は別のキャリアパスになりがちですが、タイでは絵を描く人が立体物も作るのが普通のようです。一人の作家が平面と立体を行き来しながら表現を追求している。そういう作品がたくさん並んでいました。
ワット・パクナム(วัดปากน้ำภาษีเจริญ)——雨と限界
次はワット・パクナム。
バンコク・パーシーチャルーン区にあるこの寺院は、高僧ルアンポー・ソッド(หลวงพ่อสด)ゆかりの場所として知られています。瞑想・修行の文脈を持つ寺で、地元の人にとっては「参拝・修行・功徳」の場所。観光はその上澄みに過ぎません。
高さ約80メートルの大仏塔があり、その内部にある天井画が「インスタ映え」として有名になりました。エメラルドグリーンの宇宙的な天井画。あれを見に来たんです。ところが雨がヤバい。
南国のスコールが容赦なく降り注いでいました。6月末のバンコクは雨季の真っ只中。昨日は雨に降られなかったんですけど、運が良かっただけなんですよね。
しかも、ここに来るまでの移動で体力がかなり削られていました。朝からコラートを出発して、ワット・パーヤップに寄り、MOCAを見て、また移動して……。

そして追い打ちをかけるように、天井画のある大仏塔が閉まっていました。
代わりに境内の巨大な仏像を見ました。
ドライバーとの精算——タイあるある
空港近くのホテルで降ろしてもらい、ドライバーの方とはここでお別れです。
最後に精算をしたんですが、メールで事前にやり取りしていた見積もりよりも、だいぶ多めの金額を請求されました。
「もう一回計算してくれへん?」
そう言うと、ドライバーの方はスマホの電卓を叩き直して、大体最初の見積もりと同じ額を提示してきました。
タイでは時々こうやって、ちょっと多めにお金をせびってくることがあります。でも、ツッコんだらすぐ直る。悪意があるわけじゃなくて、「言わなかったらラッキー」ぐらいの感覚なんでしょう。イヤミがないので、こちらも気分は害しません。
2日間、ありがとうございました。安全運転で、寄り道も付き合ってくれて、良いドライバーでした。ちょっとチップを付けて多めにお支払いしました。
シーナカリン鉄道市場(ตลาดนัดรถไฟ ศรีนครินทร์)
ホテルにチェックインした後、徒歩でシーナカリン鉄道市場へ向かいました。

シーナカリン鉄道市場は、バンコク東部にあるナイトマーケットです。2010年代に拡大・定着した「鉄道市場(Talad Rot Fai)」系のマーケットで、古着、ビンテージ雑貨、屋台が混在しています。観光客も来ますが、地元の若者の「夜の遊び場」としての性格が強いところです。
お土産を探したんですが、あんまり置いてなかった。
雑貨や古着は充実しているんですが、「日本に持って帰って人に配る用のお土産」となると、なかなか見つかりませんでした。
Lotus's——困ったらハイパーマーケット
こういうときこそハイパーマーケット。
Grabでロータス・ハイパーマーケット(Lotus's)へ連れて行ってもらいました。

Lotus'sは、もともとイギリスのTescoとタイのCPグループが合弁で展開していた「Tesco Lotus」が前身です。その後、CPグループが買収して「Lotus's」にリブランドされました。タイ資本の巨大小売チェーンです。
ハイパーマーケットというのは、食品から日用品、家電まで何でも揃う巨大店舗のこと。このLotus'sも例に漏れず、冷蔵庫や洗濯機まで置いてありました。生活の総合店になります。
地元の人にとっては「週末の買い出し基地」。旅行者にとっては「補給所」でしょう。観光地で見つからないお土産も、生活者向けの巨大店だと一気に揃います。
日本向けのお土産をたくさん買いました。ドライマンゴー、ハチミツ、ドライマンゴー、コアラのマーチ、ドライマンゴー。職場と友人に配る用です。
自分用のお土産としては、仏具を買いました。タイの仏教文化に触れた記念です。
6月30日(月)——帰国
朝食ビュッフェ強行突破
前日の夜、追加料金を払ってGrabを時間指定で予約しました。
朝5時50分にホテルを出発して、6時40分には空港に着きたい。早朝の移動なので、Grabが万が一捕まらないと日本に帰れません。
Grabの運転手さんは、約束の時間より早くホテルに到着していました。ただ、ぼくたちはまだ朝食を食べていない。
ホテルの朝食ビュッフェは6時オープンの予定で、まだ開いていません。でも、ビュッフェの用意はもうできているし、いい匂いもするし、お腹も空いているし……。スタッフに聞いてみます。
「朝食会場、まだ開いてないんやけど、ちょっとだけ食べさせてもらえへん? 飛行機の時間があって……」
と交渉。タイ人の従業員さんは笑顔で、
「いいですよ、どうぞ」
とのこと。Grabの運転手さんに現金でチップを渡して、
「ちょっとだけ待ってもらえへん?」
と頼みました。
本来はオープン前の朝食ビュッフェで、急いでご飯を食べました。
従業員さんの柔軟な対応に感謝です。タイのホスピタリティは本当にすごいです。
スワンナプーム国際空港から広州へ

5時50分、ホテル出発。 6時40分、スワンナプーム国際空港着。
チェックインを済ませ、8時20分発の中国南方航空CZ362便で広州へ。
12時20分、广州白云国际机场に到着。
乗り継ぎの時間が4時間あります。行きは一時入国して市場に行きましたが、帰りはさすがに疲れていたので、空港内で過ごすことにしました。
广州白云国际机场では空港内レストランで中華料理の再チャレンジです。

うーん。あんまり美味しくないのよね……。
関西空港へ
16時20分、广州白云国际机场からCZ393便で関西空港へ。
21時、関西空港に到着しました。
機内食のほうが中国国内で食べるご飯より美味しいんですよねー。
おわりに
よくタイは「微笑みの国」と言われます。たしかに今回の新婚旅行では現地の方にたくさん親切や助けを受けました。ぼくも日本に来ている外国人に優しくします。
一方でタイは東南アジアの中で唯一、植民地支配を受けたことがない誇り高い国です。日本のヤクザにタイ人同僚が暴行を受けたら、ちゃんと返り討ちにします。
地獄寺の説話は使い古されています。生前に魚を捌いていた者は死後に魚に捌かれる——こういう単純な因果応報の物語は、現代人から見れば素朴すぎて笑ってしまいます。でも、繰り返し語り継がれてきたということは、そこに一片の真実があるからでしょう。
人生はクロニクルです。いいことも悪いことも、色んなことがランダムに起こります。雨に降られる、店が閉まっている、ぼったくられる、期待していた中華がマズい。でも人生の最期で思い返したとき――旅を最後に振り返ったとき、都合よくチェリーピックして「良い物語」として再解釈・再構成できる人生だと幸せです。
こんな新婚旅行に付き合ってくれた妻には感謝です。







































