ひでシスのめもちょ

今度は箱根登山鉄道に乗ってみたいと思っています

インドネシア・ジョグジャ1ヶ月目の雑感

8月の28日の飛行機で出国したので、インドネシアに来てから5週間ちょいが経過したことになる。1年かけてガジャマダ大学で修士号を取得する予定。
まだ講義には通いだしたばかりで生活リズムになれたとは言い難いが、この時期に思っていたことを残すことは無意義ではあるまいから、思いついたことを徒然と書く。ちなみにこの口上は黒鷺のパクリだ*1
kuroasagi.hatenablog.jp

ジョグジャって?

公式にはYogyakarta、口語や非公式にはJogjakartaもしくはJogjaと呼ぶ。市の人口は43万人。インドネシアで最も人口の多いジャワ島の真ん中の一番南に位置する。首都のジャカルタからは電車で10時間程度。
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人口

インドネシアの都市としては、ジャカルタ、スラバヤ、バンドン、メダン、……
と続いて27番目に人口の多い市だ*2。そりゃあ、人口2億人超えのインドネシア京都市の半分も人口のない都市だったら27位ぐらいにはなるか。

人口の割に大学が多くて、大学都市という感じ。京都と似てる。
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市内中心街のマリオボロ通り。大学・下宿からは自転車で25分ぐらい。

伝統と文化と政治的立ち位置

WW2後のインドネシア独立戦争時には臨時首都になっていたらしい。インドネシアの中でも伝統と文化のある都市で、王宮が残っててスルタン(王様)も住んでる。かつ、スルタンが州知事もやっている(マジで!?)。
近年の傾向としてインドネシア国家がイスラーム化を推し進めているような感じがあるんだけど、例えばその一つの反ポルノ法の反対の矢面に立ったのがこのジョグジャとスルタンだったりする。イスラームを国内の急進左翼とみなすなら、こっちはどちらかというとインドネシア伝統文化に基づいた保守の地域という印象。

ガジャマダ大学

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インドネシア大学に次ぐ国内2位の大学。京大みたいなもの。ただ、いくつかの単科大学が集まって総合大学になった経緯があって、メチャクチャ縦割りというイメージがある。

留学手続き上のトラブル
  • そもそもぼくが渡航日を教授に知らせずに来た
  • 学生証が授業始まって1ヶ月なのにまだ発行されてない
  • KITAS(暫定在留許可)の発行手数料(4万円)を、一緒に同じプログラムで来た学生は研究科が払ってくれたのに、ぼくは自腹
  • 国際学生課・研究科教務掛・教授・研究科長のコミュニケーションが上手く行ってなくて自分からせっつきに行く必要がある

などいろいろ。留学開始前にもっと色々算段付けておくべきだったと反省している。

生活

気候

インドネシアには乾季と雨季しか無い。乾季の今は21-34度づらい。日本に比べると湿気も少なくて過ごしやすい。ただ紫外線がすごくて、全く対策せずに外へ出ると半時間ぐらいで日焼けになる。
イスラームが濃い国家なので若い女性は皆ヒジャブを被って長袖長スカート・パンツを着ている。一方でインドネシア人(男性)は基本的に半袖しか着てなくて、お店でも長袖の服はほとんど売ってない。焼けないんだろうか。メラニンが濃いから紫外線には強いのかな。

食事

基本的に辛い、チャーハンを炒めてるフライパンから立ち上る煙がすでに辛くて痛い。あと旨味が少ない(あっても味の素で補ってあるものがほとんど)。揚げ物が多い。水道は飲めない。
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こちらに来てから週に2回ぐらい原因不明の下痢に悩まされてた。水が原因かなぁと思いつつも生水は飲んでいないし、そもそもインドで生水を飲んでいてもお腹を壊さなかったぐらいには胃腸が強いのに、なんでなんだ……と悩んでたのだけど、この前辛い料理が原因であることを掴んだ。なるほど。激辛料理を食べると胃腸がびっくりして6時間後ぐらいから下痢が始まる。

外でごはんを食べるところは3種類に分かれている。路端屋台、ワルン(地元食堂)、レストラン。

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典型的な路端屋台。これはSoto Ayamなので鶏出汁茶漬けのお店。価格は一食100円程度。塩っぱいものが多い気がする。
店によって決まった営業時間があって、夕方だけ営業しててそれ以外はテントも畳んで無くなっている。

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ワルン。ローカルレストランといった感じ。ここはBubur Ayamなので鶏粥のお店、朝しかやってない。価格は一食150円程度。
店によって決まった営業時間があって、朝だけとか昼だけとか夕方だけとか様々。屋台ならわかるけども、せっかく建物と調理設備を取得したのにそれらの稼働率が低いのはどうなんだ。たぶん1日に少し営業するだけで地代と賃金を稼げちゃうんだろう。資本生産性が低い。

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レストラン。これはホカベン、今年は入ったこと無いけど。ホカベンは完全にインドネシア資本で日本とは全く関係なくて、日本風のインドネシア料理が食べられる。レストランの価格帯は一食250円~といったところ。

最近切れるカードが少なくなってきてインドネシア料理に飽きてきた感じがある。近くにステーキ屋のチェーンがあるのを発見したので嬉しがって3回行った。300円程度でステーキ食べれるのコスパいい。日本料理っぽいものを出す店はわりとあって、近くに3件ぐらいある。でも全部醤油がないか腐ってる。醤油の味って塩気ではなくつまりは風味だから常用してないと難しいのかもしれない。
できるだけ揚げ物を避けてるんだけど、食堂のメニューには本当に揚げ物が多い。これ全部椰子油で揚げてるんだろうなぁ、美味しいけど心臓に悪そう。

賃貸

こんなアパートに住んでる。
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部屋は1部屋6畳ぐらいで、トイレシャワー室が別で付いてる。月1万円。
ここは金持ちが住むところっぽくて、1Fには別大学の講師とかが住んでる。一般の学生は月2000円とかそういうレベルで、トイレ・シャワーも共同らしい。

物価

食事が150円ぐらい、賃貸が2000円ぐらいというところから想像して欲しい。ただ、日本で中国から輸入されているために安いものは、インドネシアだと日本より高い。一番やすかった自転車が8000円もした。どんなんやねん。PCパーツも高くてやってられん、全部Aliexpressで個人輸入しよ。
スーパーではオレオが70円、2L飲料水が40円、500ml飲料水が20円とか。大塚製薬SoyJoyも売ってるんだけど70円する。インドネシアオリジナルのファイバーバーなら40円だ。
賃金が低いせいか元手が労働ぐらいしかかからない散髪などは鬼のように安い。ワルンレベルの散髪屋で80円、レストランレベルの散髪屋でも190円とか。日本なら美容室4000円、散髪屋1500円、中国の美容室で髪を切ると600円、マレーシアの路端で髪を切ると200円とかなので、これは安いと思う。

インターネット環境

家にFTTHを引いた。Telekom IndonesiaのIndihomeを契約。下り10Mbpsで月4000円。帯域を倍にすると月額も倍になる。ちなみに上りは1Mbpsしか出なくて意味不明。この前障害があって突然1週間ぐらいインターネットに接続できなくなった。
モバイル回線だけど、ジョグジャではXLとAndromaxがLTEサービスをやってて、その他のキャリアは3Gのみ(2015年10月現在)。価格は月1000円で3G 4GB+LTF 4GB、追加容量は1000円で4GBとか。ただ、LTEでも下り3Mbpsしか無かったり、かつブチブチ切れたりだとか。電波バリ3でもコネクションが張れなかったりだとか、コネクションは張れてるのにインターネットに2時間全く繋がらなくなることがあったりだとかでメチャクチャ不安定。日本の回線品質の高さが羨ましい。

インドネシア

時間感覚

jam karet(ゴムのような時間)という言葉があるんだけど、本当に時間を守らない。授業も半時間遅れで始まって20分遅れで終わったり、待ち合わせをしても半時間遅れて来たりだとか。ただ、店を閉める時間はむしろ5分前にシャッターを下ろしたりしててよくわからん。

ジョグジャと日本の時差は2時間。ジョグジャのほうが2時間早い。
で、インドネシア人の朝は早い。朝5時にモスクで朝の礼拝があったりしてみんなその時間には起きてる(礼拝を知らせる放送が街中のモスクから街中に響くのだけど、向かいがモスクなので音量がすごい)。お店も8時開店6時閉店とかだったりするので、日本より時間間隔がちょうど2時間早い感じ。だから日本時間で過ごすのが正解なのだ。みんな10時には就寝してるので、日本感覚で12時や2時まで夜更かしすると大変なことになる。ちなみに、ぼくの時計はスマホ以外日本時間のままだ。

言語

インドネシア語をしゃべれないと話にならない。大学生はだいたい英語を喋れるけども。プラス、個々の地域ではジャワ語を話せたほうがいいみたい。とかくインドネシア語をそれなりに話せるようになりたい。インドネシア多民族国家だけども、インドネシア語による統一を掲げた国家なので、やはりカタコトでも話せると受け入れてもらえる感覚がある。文法はそんなに難しくないので、単語を覚えるのが中心という感じ。
ちなみに教授も、大学の友人も、アパートの管理人もみんなジャワ語が第一言語だ。ジャワ語が通じない人を混ぜて話すときはインドネシア後で話すけども、と言った感じ。特に管理人はインドネシア語がそれほど流暢というわけでもないみたい。

人間関係

特に接する機会の多いジャワ人・メダン人について書く。
人間同士の距離感は日本人と似てて、少し間を空けて丁寧に接する感じ。白人のイケイケベッタリみたいな感じもなく気楽で良い。地域コミュニティはぼくの地域では健全で、アパートの管理人が向かいのアパートに住んでるのだけども、向かいのアパートの軒先には8人ぐらい座れるイスとテーブルがあって、いろんな人がそこでしょっちゅう話をしている。で、前を通りかかった人には手を上げて挨拶したりだとか。日に5回の礼拝でモスクで会うわけだし、そりゃコミュニティの絆も深くなるといった感じだ。そういえばこの前近くで喧嘩があったのだけど、アパートの管理人が関係ないのに仲裁しに入って行ってた。このコミュニティの強さは2006年の中部ジャワ地震の時とかにも役に立ったみたいで、被害状況の把握が容易だったらしい。
ぼくはあまり下宿の部屋から出ないので管理人に「監獄に住んでるみたいだ」と少し心配されていた。先週末の土曜日に朝から昼にかけてそのテーブルでいろんな人と話をさせてもらって、向かいのアパートの人と連絡先を交換してご飯を食べに行ったりするようになった。感謝だ。

インドネシア語にはカーストはないのだけど、現地のジャワ語には4つのカーストがある。で、それぞれのカーストからどのカーストに向かって話すかで言葉が変わる。そういった言語を基礎とした社会なので、例えば大学事務の人は大学事務の人で教授には圧倒的に従う、みたいな感じをわりとそこら中で見かける。インドネシア語では人に対する呼びかけで「○○お兄さん」「○○お姉さん」を肉親以外にも広く使うのだけども、これについて友人に「教授に使えるの?」と冗談で聞いたら「そんなの絶対ダメだよ」と笑いつつもかなり強い調子で否定された。

挨拶では「Slamat /(pagi|siang|sole|malam)/.」(おはよう、こんにちは、こんばんは)があるのだけども、それに加えて「Ke mana?」(どこへ(行くの)?)をよく使う。管理人はぼくの顔を見るたびに言ってくる。1階の大学講師も「Where are you go?」って言ってくる。中国人が「你吃了吗?」(ご飯食べた?)を挨拶として使うのと同等だろう。律儀に答えても良いんだけど、中国人がご飯を食べても食べてなくても「食べたよ」と返すのと同じように、基本的には「Jalan-jalan」(散歩へ)とかで良いのだと思う。ただ、「人にどこへ行くのかと聞くのはやり過ぎ、プライバシー侵害だ」という教育を受けてきたぼくにはまだ慣れない。というか多動症なので特に目的なく出歩くしよくわからん。毎回戸惑ってしまう。これって散歩なのか?

*1:はてなブログトラックバック機能がないのやばくないスカ

*2:出典:インドネシアの都市の一覧 - Wikipediaから計算。